ミュージカルファンタジー「人魚姫」(マンドリン合奏)

服部正がミュージカルファンタジーとして様々な「お姫様シリーズ」を作曲しておりますが、そもそもの出発点がこの「人魚姫」と言われています。
譜面の表紙を見ても判る通り「アンデルセン生誕150年記念」という背景で作曲しており、1955年11月に慶応義塾マンドリンクラブ(KMC)の75回定期演奏会で初演されています。その時はソプラノ伊藤京子さんだけでなく語り手として当人気を博していたタレントの加藤治子さんをお迎えした豪勢なキャストでした。
この曲はソプラノ・テノールの独唱者と語り手の他混声合唱が大きな役割を果たしており、また全体で1時間近くにも及ぶため練習もかなり時間がかかり、上演するには結構手間がかかる曲ですが、その後もKMCの定演で何回か再演しただけでなく、KMCのOBの方々が別の機会で演奏して頂いた事もあり、服部正のマンドリンのための作品としては比較的注目して頂いている曲です。
この演奏会の成功に気を良くした服部正は以前にも紹介した通り「シンデレラ姫」「かぐや姫」「白雪姫」と立て続けに作曲しました。それぞれ何回もKMCの定演に登場しておりますが、服部正がKMC引退後は独唱、合唱の必要性を憂慮し演奏する機会がほとんどなくなりました。
ただ、この人魚姫だけは上記の通りKMCのOBの皆様のご加護によって何回か演奏の機会を得ております。
2001年に当時私が住んでいた埼玉県与野市(現在のさいたま市中央区)の与野マンドリンクラブのリーダーがKMCのOBの方であり、この曲を演奏会に取り上げる事に際しメンバーでなかった私に出演を依頼頂き初めてこの曲に触れさせていただきました。服部正が相当思い入れを込めて作ったことを、その時の練習時で認識出来るほどの力作であったと思います。

KMCのOBの皆さんと協力しながら、この「お姫様シリーズ」の音源を復刻して皆様にお聞かせできるようになればと思っており、鋭意検討していきたいと思っております。

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1955年初演時の譜面のタイトルページ
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同、冒頭のアンデルセン頌歌の部分