戦前アニメ音楽「あひる陸戦隊」、「アリチャン」

世の中は太平洋戦争に向けギクシャクしていた中で、こんなに可愛いアニメを作っていたとは信じられませんでした。
この映画2つとも「瀬尾光世」氏の監督によるものですが、どちらも子供向けとして道徳心を情操した内容で、とにかくそこに登場するキャラクターがディズニー映画に優るとも劣らないとても愛嬌のある動物が主人公で活躍していることが驚きです。
そんな可愛いアニメ映画の音楽を服部正が担当していました。

まず「あひる陸戦隊」ですが、服部正の譜面の表紙を見てもこんなに可愛いアヒルが出てくるとは想像できず、きっと戦争当時の子供向けに日本国軍の尊大さをアピールするような物語の音楽では、と勝手に思っていました。

この曲の本来の姿をご教示頂いたのが「東京国立近代美術館フィルムセンター」の方であり、早速ネットで調べて拝見したところ、「あひる」と「かえる」の戦いですが嵐に巻き込まれ最終的にはお互い「つまらない戦いはやめよう」的なハッピーエンドの作品でした。まさにこの時代にこんな作品を作っていることが驚きです。(小生の勘違い誠に失礼しました。)

そしてもう一方の「アリチャン」
これも「アリチャン」というあだ名のおどけた人間がお笑いの番組かなんかをやった時のBGMとばっかり思っていましたが、まさに「アリ」ちゃんでした。
こちらもいたずらっ子のアリの子供がキリギリス(かな?)が大事にしているヴァイオリンを勝手に持っていったものの悲しんでいる姿を見て返しに行く、という道徳心溢れる作品であり、またしても失礼な勘違いをしてしまいました!

どちらも「文部省」のお墨付きで、文字も横書きは左向きに書いてあるところが歴史を感じさせます。(「アリチャン」の最後は「リハヲ」と出るのが印象的でした。←現代では「おわり」です。)
本アニメ映画の音楽担当としてどういう経緯で服部正に白羽の矢が立ったのかは不明ですが、子供向けの明るい曲想という点でイメージに合っていたのかもしれません。
画像の鮮明さに比べ音質はかなり戦前の作品の面影を残していますが、是非一度ご覧になっていただきたいと思います。

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