毎年開催されている慶応義塾マンドリンクラブ(KMC)の部内演奏会というローカルなコンサートにて、服部正の恐らく正式には公開されていない作品を演奏する事に致しました。この演奏会はKMC OBOGがアンサンブルをそれぞれ編成し演奏し合うイベントです。
曲は「ボヘミア旋律によるフルート、オーボエ、クラリネットのための狂詩曲」という、題名からは何となく堅苦しそうなイメージが湧いてきますが、皆さん良くご存知の「気のいいアヒル」という歌のメロディを変奏曲風に服部正が作った曲です。
作曲されたのは1975年10月で、服部正としては珍しい「木管楽器」にスポットをあてた曲となっています。
編成はソロ・フルート、ソロ・オーボエ、ソロ・クラリネットがこの曲のメロディを様々なパターンで演奏、伴奏には「弦楽合奏+リズム打楽器+ピアノ」という譜面と、単純に「ソロ3楽器とピアノ」だけ、という譜面の2種類を服部正は作っておりました。
そもそも何のためにこの作品が作られたか、これは何も情報が残っておりません。
雰囲気的に当時服部正が力を入れていた「グレースノーツ」という女性ばかりのオーケストラ用に作った事はほぼ間違いないと思われます。
しかしながら録音の痕跡はなく、演奏会でやったのかどうかも不明で、仮にグレースノーツでやっていたらそれぞれのパート譜も残っているはずですが、それもありません。
この譜面は過去小生宅には無く別の方にアーカイブして頂いた中にあり、一昨年返却を頂き発見致しました。
想定としては、当時グレースノーツは地方や企業からイベント開催の時の出し物として呼ばれていったことも多く、その中でこの楽団の管楽器奏者の「腕前ご披露」的位置づけで演奏された可能性が高いのではと思われます。
このグレースノーツは、そもそもが音楽大学の女性楽器奏者が当時卒業後音楽をやる仕事につけないという事で服部正はこの楽団を作ったのですが、当然音大卒の女性管楽器奏者もかなりレベルは高く、この曲も結構ソリストに厳しい要求をしております。
実にほぼ50年振りにこの曲をKMC三田会の管楽器メンバーでこの度部内演奏会にて再演する事に致しました。編成はフルートとクラリネットだけの6重奏で、ソロはオーボエを2番フルートに対応して頂き再現致します。
全曲で5~6分の比較的短い曲ですが、テーマを様々なバリエーションで最後に向かって盛り上がっていく様は服部正らしい展開です。(他にも一般曲2曲演奏予定)
服部正がこの曲を書いた年齢(67歳)になった私がこの曲を演奏するのも何か運命的なものもありますが、果たしてどんな演奏になるか、皆様にもまたご報告いたします。(ご報告もできないようなひどい演奏にならないように、自らにプレッシャーをかけてます!!)
*部内演奏会は2/23(木・天皇誕生日)新宿区 角筈ホールで午後13時開演予定だそうです。