服部正は一時期国立(くにたち)音楽大学の教授として教鞭をとっていたことがありました。
考えてみれば一般大学しか出ていない人間が、音楽大学の教授にまでなるというのはなかなか例が無いかもしれません。
残念ながら詳しい大学時代の教鞭状況は聞くに至りませんでしたが、専門は作曲よりも「管弦楽法」だったようです。
その時の教材としての本が、「ウォルター・ピストン」というアメリカの作曲家が著した「管弦楽法」です。
自宅解体の際にあまりにも書籍の類が多くかなり処分してしまいましたが、この本は「クラシックファン」であれば結構面白い内容でそのまま残し拝借してしまいました。
オーケストラの楽器別に古今の作曲家がどのようにその楽器を引き立たせた使い方をしたか、とか具体的に譜面まで載せて説明しており、やはり一般大学を出た私も思わず読み込んでしまいました。
ところで、服部正はどんな授業をしていたのでしょうか?
週に1~2回玉川上水までカバンを引っ提げて出かけていきました。時々授業で使う、といってレコードを持っていきましたが、当時は私もそれなりにLPレコードをコレクターとして所蔵していたので、「ストラヴィンスキーの『火の鳥』のレコードあったら貸してくれないか?」とか頼まれた事もありました。(返された時に、「この演奏なかなか良いね」と言われて嬉しくなった事もありました。)勿論ピアノは弾かない(弾けない?)のでレコードを聞かせながら講義をするというイメージだったのでしょう。ここのところは本人もあまり話をせず、想定ですが。
科目自体はいわゆる「単位稼ぎ」が出来る科目として学生からはそこそこ評判は悪くなかったらしく、一度テストの採点をしている所を覗いてしまいましたが(本人が「見るか?」と言って呼ばれたので、、、)落第点は全くと言って無くほとんどがAかBでした。
いわゆる「甘い」先生だったようです。
(テストの採点を覗く等、ある意味非常に由々しき事ですが、もう時効と思ってご勘弁下さい!)