先日の慶応義塾マンドリンクラブ演奏会で本年の服部正の自作作品が演奏されるコンサートは最後と思っておりましたが、ここに朗報が入ってきました。
この資料館を通じて連絡を取らせて頂いた方のお一人で「絃楽合奏団B-one」の指揮者でいらっしゃる辻本様から服部正の作品のお問合せを頂いておりました。
何回かやりとりした中で服部正の初期のマンドリンオーケストラ作品の「斑蝶(まだらちょう)」という曲にご関心を示されたようで、なんと今年の11月の「絃楽合奏団B-one」第14回定期演奏会にてこの曲を取り上げて頂くことになりました。
この「絃楽合奏団B-one」は関西地区(大阪、京都等)に本拠を置いて関西の社会人マンドリンオーケストラとして活発な活動をされているとの事で、京都の「同志社大学マンドリンクラブ」ご出身の方も多いと聞いております。
同志社マンドリンクラブと言えば歴史的にも非常に古く「東の慶應、西の同志社」と以前は言われていたほど名実ともに知られていた団体です。
同志社マンドリンクラブは「中野二郎先生」という大音楽家に育てられてきており、中野先生の自作、編曲作品をもっぱら演奏される事が多いのですが、今回珍しく服部正の作品を取り上げて頂きました。
この「斑蝶」という作品は昭和5年(1930年)に服部正がまだ慶応義塾大学在籍中に作曲した作品であり、慶応義塾マンドリンクラブの定期演奏会では同じく昭和5年5月に「故宮田政夫氏追悼演奏会」と銘打った演奏会にてプログラムに載せられました。
当時の直筆の譜面がまだ残っております。
この曲の編成で管楽器の扱われ方が珍しく、フルートの他にオーボエ、バスーンというダブルリード楽器を使っていました。シングルリードのクラリネットを使わなかった理由は現状では不明ですが、当然マンドリンクラブにはオーボエ等の部員はおらず慶應の「ワグネルソサエティオーケストラ」の協力をあおいだものと思われます。
この曲もなかなか再演される事無く今日まできており、是非この演奏を耳にしたいと思っております。
11月10日(土)18:30 京都の「京都市国際交流会館」イベントホールにて開かれるとの事ですので、ぜひ関西地区にお住まいの方はお聴き頂ければ幸いです。
(もちろん関東地方等の別地域の皆様も機会があれば是非ご来場ください。)
服部正没後10年、生誕110年を締めくくる演奏会としてとても期待しております。
辻本様、絃楽合奏団B-oneの皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。そして演奏会の成功を祈念しております。