先日縁あって「立川マンドリンクラブ」の演奏会にご案内頂きました。
というのも半年ぐらい前に当資料館にお問い合わせがあり、「ヨハン シュトラウスの南国のバラのマンドリン編曲譜は無いか」との事でした。
幸いスコアが残っており早速お貸しし、先日その譜面を使った本番にご案内を頂いてお伺いしてまいりました。
この曲は1975年11月の慶應義塾大学マンドリンクラブ第115回定期演奏会にて初演されました。
実はこの曲の編曲のきっかけは、同年3月に有名なカール・ベームとウィーンフィルが来日した時にNHKで録画放送された中に「ウィンナワルツの夕べ」的な演奏会があり、それを服部正もじっとテレビを見つめて聞いておりましたので、恐らくこの演奏がトリガーとなったと思われます。
服部正はこの他にも「美しく青木ドナウ」や「皇帝円舞曲」等のワルツ、「雷鳴と稲妻」ポルカ等のシュトラウスの作品を積極的に編曲し、定期演奏会だけでなく各地の演奏旅行で取り上げておりました。初演後しばらくはこの「南国のバラ」も演奏旅行でのプログラムに載せられており、服部正もどちらかというと気に入っていたと思われます。

立川マンドリンクラブのメンバーからこの曲を演奏会でやりたい、というご希望が寄せられ、ちょうど50年ぶりに演奏する運びとなりました。(この楽団に慶応義塾大学マンドリンクラブご出身者も在籍され、そういった背景も前向きなお問い合わせをいただくきっかけとなりました。)
演奏会には地元の方々がたくさん来場され空席を探すのにひと苦労するほどの活況で、出演者もまさに「老若男女問わず」ステージで一生懸命演奏された姿は大変気持ちの良いものであり、「ムーンリバー」といった聞きやすいポピュラーから熊谷賢一氏作曲の「群炎1」という邦人マンドリンオリジナル曲等本格的なマンドリン作品に至るまで思い切った選曲も面白く、楽しいひと時を過ごしました。
立川マンドリンクラブの皆様、お疲れさまでした。そして素晴らしい演奏をありがとうございました。