先日友人からSNSで連絡を頂き、「服部正の初期の作品がYouTubeに載っている」との情報を得ました。
この資料館でもご紹介した「ピアノの為の前奏曲」であり、見事に音が再現されております。(それも1番だけでなく2番まで。)
(YouTube 前奏曲)
一度当館でもMIDIでの音源再現を試みましたが、ピアノ曲の演奏のITでの再現は微妙なタッチ感、強弱、テンポの揺らし方等相当困難を極め、諦めて譜面だけの掲載としました。こうやってアップしていただいたのは非常に光栄であり感謝しております。(名大作曲同好会、榊山大亮氏によるアップ)
聞いてみると日本的な「和」の響きの中にも何となくドビュッシーやフォーレのフランス近代音楽っぽい響きにも聞こえますが、これは恐らく当時唯一の「師」として信望していた菅原明朗先生の影響が強いのではと思われます。
菅原先生は当時の日本としては珍しくクラシック音楽でも「フランス音楽」を積極的に紹介し、弟子の音楽家たちにも夜遅くまでフランス音楽の話をしていた、と「広場で楽隊を鳴らそう」という服部正の自叙伝に書かれておりました。
服部正も一時菅原先生の影響を受け、フォーレ、ドビュッシーだけでなく様々な作品の譜面をかき集めていました。このプレリュードが書かれた年は1932年頃で、なんとまだフランスの大作曲家「ラヴェル」が生きていた頃であり、以前ご紹介した「マリピエロ」や「オネゲル」といった当時の現代音楽のスコアも入手しておりました。
先日その菅原先生のご親族の方からご連絡を頂き、菅原明朗先生作曲のピアノ曲の譜面のご紹介を頂きました。ここにそのご紹介をさせていただきます。
(宮崎県のHIBIKI Music Supplyでお取り扱いとの事であり、もしご興味がおありの方はお問合せ下さい。)
館長様
はじめまして。私は上記の音源をYouTubeにて公開させていただいた榊山と申します。
東京で作曲や音楽研究、イベント関係の仕事をしておりますが、名古屋大学に通う私の弟子たちのグループを支援する目的で、彼らの協力得て作っているという形でYouTube上にRMCチャンネルを開設、日本を中心に様々な事情で忘れられたり、紛失したり、楽譜の入手の問題などで演奏頻度が高くない楽曲を研究し紹介していく活動を開始しました。
この程服部先生の楽譜を発見でき、その内容に心打たれるものを感じてご挨拶もないままデータ化し公開しましたこと、まずお詫び申し上げます。
また資金などの問題から現在RMCで紹介している楽曲はすべて打ち込みのものとなっておりますが、将来的には生演奏化したいとの夢も持っております。
ただ私は普段打ち込みを扱う機会が多いため、音源の制作に慣れており専用の環境もあるので、打ち込みにしては自然な表現ができているのではないかと思っております。
今回はご許可を頂かず公開してしまいましたことで、大変ご迷惑をおかけしたのではないかと心配しておりました所、Facebookで野口聡様より連絡をいただき、いずれこちらからメッセージを送るようにアドヴァイスを頂戴しましたので、遅ればせながらメッセージをお送りさせていただきました。
上記楽曲の公開に問題があるようでしたら、削除等の対応も取りますので、お知らせいただければ幸いです。
RMCではこれからも音楽・文化を将来に残すべく、研究と発表を続けてゆく所存ですので、ご指導ご鞭撻頂けましたらこれほどに幸せなことはございません。
突然のメッセージ失礼いたしました。
榊山様
コメントありがとうございました。
また服部正の作品を取り上げていただき、再生の機会をおつくり頂きましたこと、こちらとしても大変感謝申し上げる次第です。
まず、この資料館でもご紹介した通り「服部正のピアノ曲」というのは極めて珍しく、特に作曲家としての活動を始めた20代の作品にほぼ限られております。
本人もピアノ曲というジャンルが相当苦手で苦労した事もあり、どうも本人自体があまり声を大にして世に問うつもりがなかった可能性が高い物の、こうやって約90年後にITの力で再生の機会が出来た事はとても大きな意義があり、作曲者親族としても心より敬意を表したいと存じます。
必要に応じてこちらからも情報発信は致しますが、もし何かご要請があれば出来得る限りのご対応はさせて頂きます。
これからもも是非継続的な活動をご推進賜り、服部正の作品はもとより様々な楽曲のご紹介をして頂ければ幸いです。
今後のご活躍を祈念しております。