さて、突然ですがこの字の読み方はお分かりですか?
「甃」
これは「いしだたみ」と読みます。皆さんよく書かれる字は「石畳」ですね。
服部正は1930年台にこの歌曲を作りました。作った経緯は明確ではありませんが、当時の詩人(作詞家)「三好達治先生」の「甃の上」という詞に曲をつけた形となっています。
当時の印刷譜とオーケストラ伴奏編曲譜が残っておりました。
下記の印刷譜をみてお分かりの通り、1933年(赤丸で囲った部分)の発行であり、中央上部の表紙隅に「月間楽譜第二十二巻五月号付録」と小さく書かれておりました。
当時(昭和8年)にそんな月刊誌があった事も画期的であり、しかもこのような楽譜が付録でついているのも驚きです。
最近JASRAC(日本音楽著作権協会)からこの曲の使用があったとの連絡を受け、思わず譜面を探してみたところ発見したのがこの譜面でした。
(蛇足ですが、この印刷譜面の作詞者の名前は「三好達二」と書かれており、「治」の字でなかったのはどんな所以があるのかは不明です。)
1933年発行の月刊誌の「付録」として添付された「甃の上」印刷譜
1936年に自らオーケストラ版に編曲した直筆譜