マンドリンオーケストラでの管楽器③

フルート、クラリネットの特殊楽器について

例えばフルートで言えばピッコロ、クラリネットで言えばA管等についてのお話です。

ピッコロ

 まずピッコロですが、これはフルートの補完として使われる事が多く、オーケストラ曲のマンドリン版アレンジではそのまま使われる事が一般的です。
 ソロプレーヤーとしてのピッコロの登場は少ないですが、逆にフルートが苦労する場合の「逃げ道」として使う事を私は勧めています。
 クラシック曲ではヴァイオリンや金管がそれなりの音量で展開していただけるので、フルートの高音域でのトリルやピアニシモもそれほど難しくなく展開できますが、マンドリンオーケストラではさらに音量的に小さく要求される事が多く、そうなるとこの音域での演奏は極めて難しくなります。スキル的に対応が厳しくなる場合にフルートのその部分をピッコロが補完してあげる事により、全体のバランスを崩さずに進められます。
 また打楽器が多数入ってくると、フォルテシモの部分でマンドリンのメロディが埋もれてしまう事も少なくなく、そういった意味では客席にメロディラインをしっかり聞かせる意味でもピッコロをユニゾンで吹かせる事も妙案です。
  ただ問題は「フルートが上手に吹ける人」が、同じようにピッコロを巧みに演奏できるとは必ずしも限らない事です。フルートより小さくていかにも簡易な楽器にも見えますが、はっきり言ってフルート以上のスキルが必要です。息の使い方、唇の締め方、舌の動かし方がフルートとは多少違う上に、音程を安定させる事、音量をコントロールすることがフルートに比べて非常に難しくなるため、上手なピッコロ奏者を得るにはかなりハードルが高くなるのが現実です。またフルート以上に楽器の良し悪しが演奏に影響するので、ある程度の期間自分のピッコロでの実績がある方に一日の長があります。
 一方でアルトフルート等の低音系特殊楽器はマンドリンオーケストラではほとんど出番はありません。
 クラリネットも同じで、バスクラリネットについても一般オーケストラほど活躍の場面がほとんどありません。またESクラリネットというフルートで言うピッコロにあたる高音楽器も、全体バランスで目立ちすぎるため敬遠されているようです。

クラリネット
B管・A管

 クラリネットの特殊事情としては、一般オーケストラで多用される
「A管」の存在です。
 一般的にクラリネットのビギナーは「B管」というフラット系音階の楽器から始めるため、楽器の購入・流通も「B管」が主流です。「B管」とは、「C(ド)」と書いてある譜面をその指で吹くと、実際には1音下の「B音(シのフラット)」の音が出る楽器の事です。(「A管」の場合はさらに半音低い「A音(ラ)」の音が出ます。)オーケストラの譜面ではほかの楽器と調性を合わせるため移調した譜面で吹きます。(ハ長調の曲は「B管」だとニ長調の調性の譜面になります。)
 吹奏楽団は金管楽器が総じて「フラット系」の楽器なので大抵「B管」で事足ります。一般オーケストラではかなり「シャープ系」の楽曲も多いため、どうしても「A管」が必要欠くべからざるものになってしまい、B管A管2本持ちの奏者が一般的になります。
 ではマンドリンオーケストラではどうかというと、マンドリン・ギターが基本的にフラット系にあまり強くないため楽曲がどうしてもシャープ系になってしまい、B管ではかなり苦労します。特にクラシック編曲ではシャープ3個以上の曲はB管だとシャープ5個以上になってしまい、譜面にダブルシャープ、ナチュラル等が多発してきて譜読みに極めて苦労します。
 かといって「A管」をわざわざ購入するほどのコストパフォーマンスもあまり感じられないため、シャープの多い譜面に甘んじている奏者がほとんどと思います。
 注意しなくてはならないのが、クラシック編曲にてA管最低音の「実音ドのシャープ」がソロで突然出てきたりすると、B管では音を出せないので「借用」「再編曲」等の対策が必要になってきます。

 マンドリンオーケストラでの管楽器に対しては、指揮者や事務局が譜面を渡す前に奏者と所持楽器の状況、スキル等をよくコミュニケーションしておく事が、その後の練習の効率向上につながっていく事になります。(できれば選曲の時点で多少なりとも配慮があれば、管楽器奏者にとっては大変助かります。)

館長
1955年 服部正の長男として東京で生まれた。                     1978年 慶応義塾大学卒業(高校よりマンドリンクラブにてフルート担当)        同年    某大手電機メーカーに入社(営業業務担当)                  2015年 某大手電機メーカーグループ会社を定年退職                  現在 当館館長として「服部正」普及活動従事       

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