服部正とシューベルト「未完成」

実は今年の夏に予定されている慶応義塾マンドリンクラブ三田会定期演奏会について、なかなかきちんとしたご提示がコロナ等の問題で出来ていない状況でした。
オリンピックも開催の方向で動き始め、さすがにそろそろ発信したほうが良いとも思い、投稿に至りました。

今回の定期演奏会は、昨年予定されていた演奏会が中止となり今年に延期されましたが、選曲も一部変更になりました。その結果「服部正の作編曲」がオンパレードする形となりました。

具体的に申し上げると以下の通りです。

第1部 「三田会の浪漫」
ヴェルキ ロマン的協奏曲
シューベルト 交響曲第7番「未完成」(服部正編曲)

第2部 「三田会の休日」
ポーター ビギン ザ ビギン(服部正編曲)
服部正 ホリデー・イン・ジャパン
ガーシュウィン ラプソディ・イン・ブルー(服部正編曲)

要するにヴェルキ以外、服部正の息がかかった作品となります。

これを機に演奏される曲について服部正の観点でご紹介をしていこうと思っております。

今回はシューベルトの「未完成」です。

服部正は1936年の自分の作曲家リサイタルを機に「本格的クラシック音楽作曲」から「クラシック音楽の普及活動」に舵を切り替えました。自身でオーケストラを作り、ポピュラーなクラシック音楽を一般聴衆にお届けする事が一番のミッションであり生き甲斐になったと思われます。

当然堅苦しい交響曲や現代曲は選曲から外れ、どこからともなく聞こえるようなクラシックの小品を集めて演奏会に登場させました。

そんな中で「交響曲」の分野で服部正が積極的に取り上げたのが、ベートーヴェンの「田園」とこのシューベルトの「未完成」です。特に「未完成」はコンセールポピュレールの第1回ポピュラーコンサートでも取り上げられ、そのオーケストラでの有能な参謀であった山口氏が昭和15年若くして逝去した時に追悼演奏会でこれを取り上げたり、晩年のグレースノーツの定期演奏会でもプログラムに乗せたりしており、服部正にとっては「特別な交響曲」としての存在でした。

コンセールポピュレール 1940年山口雅章氏追悼演奏会のご案内

中でも昭和59年に慶応義塾マンドリンクラブのためにこの交響曲の完全マンドリン版を作ったのには正直OB含め驚きを持って迎えられました。
そもそも服部正はマンドリンで本格的クラシックの作品をゴリゴリ演奏する事は昔から反対しており、当時の学生部員から提案しても一蹴されてばかりだったと聞いています。
それが服部正76歳になった年に、自らペンを取って一気に書き上げたのです。
さすがに通常のマンドリンオーケストラでは限界があると見え、ホルン2本を特別に加えております。

シューベルト交響曲ロ短調「未完成」マンドリン譜

後にも先にも服部正の交響曲全曲のマンドリン編曲版はこの1曲しかないと思われます。

今でこそいろいろな交響曲を各地のマンドリンオーケストラがアレンジして演奏会に出していますが、当時としては非常に珍しい事であり、しかもマンドリンでのシンフォニー否定派の服部正がKMCで登場させたのはどう考えても「驚き」としか言えません。

今回この曲の実音を聞いてからこのコメントを書こうと思っておりましたが、残念ながら「緊急事態宣言」もあったので練習開始が大幅に遅れており、投稿時ではまだ音出しに至っておりません。

この三田会の演奏会は8月8日(日)に行われる予定ですが、まだ五輪の動きやコロナの動向が不安定な状況なので、果たして演奏会が出来るかどうかも実は内心不安な所もありますが、もし実現出来る事になれば是非皆様にもお聴き頂ければと思います。

館長
1955年 服部正の長男として東京で生まれた。                     1978年 慶応義塾大学卒業(高校よりマンドリンクラブにてフルート担当)        同年    某大手電機メーカーに入社(営業業務担当)                  2015年 某大手電機メーカーグループ会社を定年退職                  現在 当館館長として「服部正」普及活動従事       

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