謎の遺品(2)

レコード類 その1

音楽家ともなれば当然様々な音楽を聴くことも必要不可欠な仕事です。昭和初期から戦後まで、音楽の提供媒体としては「レコード盤」が最も普遍的ではなかったかと思われます。ラジオや演奏会は自分の好みのものをいつも流しているわけではないので、レコードコレクターは今も昔も自分の気に入った音楽を必死に買い集めていたものです。

当然服部正も学生時代からかなりのレコードを購入していたようでした。これは「広場で楽隊を鳴らそう」でも自身の20代の日記でもレコード購入についての記載はありました。
しかしながら昔のSPレコード(78回転)は殆ど捨てられたか消失してしまい、わずかに残されたEP,LPレコードが何枚かあり、当館で保管しております。

その中でEPレコード(45回転17cm盤)のいくつかご紹介します。
まずマンドリンの演奏でフランスのメニケッティ氏の作曲によるレコードが2枚残っており、一つはメニケッティ氏自身のサインも入っておりました。

以前当館でも「服部正の音楽旅行団」にてパリに行った際にこのメニケッティ氏にお会いしたことをご紹介しました。多分その時に頂いたレコードかもしれません。20世紀の作曲家ですが聴きやすい作品でした。(かなり盤面に傷がついており、聴ける曲だけをつまみ聴きしただけですが、、、)実は右側のレコードはジャケットと中のレコードが相違しており、実際には3枚もらっていたのかもしれません、、、。服部正が入れ戻しする時に間違えた、メニケッティ氏が寄贈する前に入れ間違えた、レコード出版会社の梱包ミス等いろいろ考えられますが、まあ「かわいい謎」です。

コステラネッツ名曲集

そして服部正が信望している「アンドレ・コステラネッツ」のレコードも見つかりました。
以前ご紹介した通り、コステラネッツの影響を受けて当時「広場のコンサート」の内容も独特なものになったと言われています。
収録されているのは比較的有名な曲が多いですが「サン=サーンス サムソンとデリラ~バッカナール」が収められている事が興味深いです。
というのも、服部正がマンドリン合奏用に様々なクラシック名曲を編曲していますが、このバッカナールについては途中部分のカットがかなりコステラネッツのこのレコード演奏に近いので、恐らくこのレコードを聴いて触発されて編曲に及んだ可能性があります。
コステラネッツについてはこの他にも「プロコフィエフのピーターと狼」のLPレコードもあり、小生が幼少の頃よく聞かせていただきました。

これら2種については「謎」というほどのものはなく、「メニケッティ氏との出会いの経緯」、「バッカナール編曲についてコステラネッツの影響の有無」ぐらいで大したことは無いのですが、次のレコードは謎です!

なぜ服部正がプレスリーのレコードを持っているのか!?
確かに左の「ラブミーテンダー」は名曲中の名曲ではありますが、どうもマンドリンにしろグレースノーツにしろ、編曲されて演奏された痕跡が残っておりません。アメリカの演奏旅行でも、少なくとも1970年代以降は取り上げられていません。自身の演奏会に向けた編曲用としての収集の可能性は薄そうです。
もう一つの見方として「懇意にしている「ビクター社」の幹部から「今、アメリカではこれが流行っているらしいぞ」と言われて自社の人気レコードを寄贈頂いた」という流れです。
クラシック畑の服部正のレコードコレクションとしては、ちょっと異色なプレスリーレコードです。

私が幼少の頃、音楽を聴くときに服部正の所蔵レコードをいろいろ聞かせていただきましたが、正直言って服部正はレコード本体を「腫れ物に触るような」扱いは全くせず、中袋なしでレコードを紙ケースに放り込んだりして、譜面の管理と同じくかなり杜撰でした。従って「いい場面が来た!」と思って耳を澄まして聴こうとすると「針飛び」でその部分が飛んだり、その部分に行く前に無限ループ状態で同じ部分を何回も再生したりすることが日常茶飯でした。
(残念ながら小生もその癖が若干遺伝してしまい、すべてにおいて「丁寧」という所がちょっと足りなかったかもしれません、、、。)

館長
1955年 服部正の長男として東京で生まれた。                     1978年 慶応義塾大学卒業(高校よりマンドリンクラブにてフルート担当)        同年    某大手電機メーカーに入社(営業業務担当)                  2015年 某大手電機メーカーグループ会社を定年退職                  現在 当館館長として「服部正」普及活動従事       

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